今、フィリピンのインディーズ映画が一番面白い!と思っているのですが、その秘密を探りにマニラに行ってきました。

空港に着いたら事前に予約していたポケットWi-Fi(1週間で1,700円!)を受け取り、Uberでマカティのホテルへ(8km、20分ほどの乗車で300円!)。まずTies That Bindのクラスメートで「Speed, Glue & Shinki」というドキュメンタリー映画を一緒に作っているBradley Liew監督と会った場所がこんな小洒落たカフェ。ここでマニラのイメージが一変しました。

Yardstick Coffee, Makati

Yardstick Coffee, Makati

カフェの隣のアジアン・フージョンレストランで夕食後、ホテルで「Speed, Glue & Shinki」のポスプロの打ち合わせ。

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それから秘密の作戦会議をして、初日は終わり。

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2日目は時間に余裕があったので、観光がてら城塞都市イントラムロスへ。思ったより綺麗な道路に驚き。というか、マニラは汚くて危険だという事前情報はかなり古いのかも知れない。商社で働いていた時に何度も行ったインドに比べると全然ましだ。

世界遺産サン・アグスティン教会に置かれている狛犬のような石像がなんとも不思議。どうやら中国から送られた獅子らしいですが、カトリック教会を守る狛犬は世界でもここだけではないでしょうか。インドの寺院でも似たようなものを見た記憶があるので、ルーツはきっとインドに違いない。

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イントラムロスの中はまるでヨーロッパのよう。色んな国々を旅しましたが、今までヨーロッパ以外でこんなにヨーロッパっぽいとこは見たことない。

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フィリピンにまさかこんな立派な大聖堂があるとは思ってもいませんでした。ヨーロッパの厳重に管理された古い教会とは違って、管理が甘いというか、生々しく身近に展示物等見れるので、面白い体験でした。

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その後、「Speed, Glue & Shinki」のPepe Dioknoプロデューサーがお勧めのアートスペース HUB: Make Labへ。マニラにもこんな場所があるんですね。

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そしてUberで1時間半かけてケソン・シティへ。その日はマニラでASEAN会議が開かれていた為、Uberのドライバーも人生でこんなに渋滞した事ないと言っていました。メトロ・マニラの人口は1,155万人で、その中でも一番人口が多く、面積が広いのがケソン・シティ。インディペンデントの映画関係社が多く住んでるのもケソン・シティらしい。下の写真はのケソン・シティの散髪屋さん。

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夜はMikhail Red監督にDohtonboriというお好み焼き屋さんに連れて行ってもらいました。大阪から来てすぐにお好み焼きかよ!と思ったのですが、大阪で僕が連れて行ったお好み焼きがあまり美味しくなかったので、こっちの方が旨いというのを証明したかったようです… Mikhail Redは「Birdshot」がアカデミー賞外国語映画賞ノミネートのフィリピン候補に選ばれた為、翌日からアメリカに旅立ったのですが、わざわざ会いに来てくれました。

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3日目の朝、テレビをつけるとCNNに「Speed, Glue & Shinki」のPepe Dioknoプロデューサーが!彼が作っている旅行番組のようです。

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その日は昼頃にSheron Dayoc監督が迎えに来てくれて、Milo Sogueco監督のマンションへ。昼間から夜までずっとウィスキー飲んでたので、かなり酔っ払いましたが、こうやって才能のあるfilmmaker達が集まるのが、面白い作品が続々と出て来る源泉なのだと感じました。そしてみんなポジティブな内容の会話が多いのが、気持ちいいです。うらやましい環境だ。マニラに引っ越したくなりました。

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酔っ払ったまま夜はフィリピンの若手監督達が集まるポスプロスタジオへ。翌日からCinema One Originalという映画祭が始まる為、知り合いのfilmmaker達を何人か見かけました。

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こういう部屋がいくつかあるのですが、こういうのを今僕が住んでいる大阪のボロアパートでやりたい!僕がイメージしていた理想のインディペンデント映画のポスプロスタジオがここにあったので、感激!

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ここは安価に編集やグレーディングができて、みんなが集まる場所になっています。ビルのオーナーの本業はソーセージらしいので、1階の冷凍庫からソーセージをもらえるそうです。悲しいかな日本のインディーズ映画は海外のインディーズ映画に比べてポスプロのクオリティの低さをよく言われます。日本の映画が海外の映画祭になかなか選ばれないのは、画質や音が映画ではなくテレビっぽいからだとよく言われます。日本の場合は人件費もかなり高いですし、スタジオもテレビやCMの仕事をメインにこなしているので、仕方ない事だとは思いますが、こういうインディペンデント映画に特価したスタジオを大阪に作れば、日本のレベルもアップするのかなと思っています。フィリピン映画から低予算でレベルの高い作品がたくさん生まれて来るのは、このように若者が集まって作業できる場があるのが大きいのではないでしょうか。

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4日目、Cinema One映画祭会場へ向かう途中、話題のミニシアターCinema 76に立ち寄る。友人のBabyruth監督の「Sunday Beauty Queen」が公開中だった。

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中に入ってみると、今一緒に企画を進めているSheron Dayoc監督の「Women of the Weeping River」とMikhail Red監督の「Birdshot」のポスターが!この映画館を運営するTBAという会社が両作品に出資しているからのようですが、フィリピンではTBAという会社がキーのようです。元々別の事業で儲けていた会社がインディペンデント映画にも出資するようになったらしいのですが、他の国と違うのは、インディペンデント映画が結構ヒットしてしまったようです。別の会社の作品ですが、大阪アジアン映画祭でも上映されたインディペンデント映画の「Kita Kita」は制作費2千万円で、興行収入は6億円を突破しました。日本ではインディーズ映画がそれなりの規模で公開される事はありえないですが、フィリピンではインディペンデント映画の興行収入が商業映画を抜いてしまったそうです。今では、フィリピンの20代や30代のインディペンデントのプロデューサーや監督は日本で言う東宝のような大手のスタジオに出資してもらって映画を作っています。なぜ、フィリピンはそんなに熱いのかというと、日本は高齢化社会なのに対し、フィリピンは若い人口が多いからだと思います。監督やプロデューサーは20代〜30代が多く活躍していて、出資者も若く、配給会社の担当者も若く、劇場の担当者も若く、観客も若いという形態が世界でも稀に見るいいビジネスモデルを形成しているのだと思います。

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そして Cinema One映画祭のオープニング会場で、3年前に一番最初に知り合ったフィリピン人監督のGiancarlo Abrahanと再会。新作の「Paki」がコンペに出ていたけど、観れなくてごめん!大阪アジアン映画祭で観たい!!

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映画祭のオープニングで上映開始が大幅に遅れているにも関わらず、歌を歌い出す司会のお姉さん。こんなノリのいい映画祭は初めてですが、僕がもし映画祭をやるなら、こんなノリでやりたい。日本の映画祭は堅苦しい映画祭が多いので、一つくらいこういう映画祭があってもいいのでは。

ちなみに、オープニング上映の作品は「スリー・ビルボード」というマーティン・マクドナー監督のハリウッド映画でした。これが思いがけなく、かなり良かったです。先月釜山国際映画祭で観た「シェイプ・オブ・ウォーター」がここ数年でダントツに一番面白いハリウッド映画だと思っていたのですが、「スリー・ビルボード」も負けず劣らず面白いです。2つともぶっ飛んでいて面白い。「スリー・ビルボード」は今までで観たブラックコメディで一番面白いかも知れません。来年のオスカーの他の候補は観てないので分かりませんが、現時点での勝手な僕の予想です。

作品賞:シェイプ・オブ・ウォーター
監督賞:マーティン・マクドナー(スリー・ビルボード)
主演男優賞:ウディ・ハレルソン(スリー・ビルボード)
主演女優賞:フランシス・マクドーマンド(スリー・ビルボード)
助演男優賞:サム・ロックウェル(スリー・ビルボード)
脚本賞:スリー・ビルボード
美術賞:シェイプ・オブ・ウォーター
撮影賞:シェイプ・オブ・ウォーター
編集賞:スリー・ビルボード
視覚効果賞:シェイプ・オブ・ウォーター
衣裳デザイン賞:シェイプ・オブ・ウォーター

当たったら誰か飯おごってください(笑)

そして、映画を堪能した後、ローカルフードに初挑戦。この焼きそばみたいなのがかなりいける。昔LAで食べたフィリピン料理がまずかったので、フィリピン料理はまずいと思っていましたが、本場の飯は旨い!しかもたらふく食って100円位だそうです。Martika監督がおごってくれました。大阪での暮らしは毎晩納豆ご飯というひもじい思いをしていますが、マニラの方が、安くて、上手くて、たらふく食えます!笑い事ではなく、生活費が安いというのは、アーティストにとっては重要な事です。東京ではまずお金を稼がなくては生きていけません。マニラにはお金はなくても、クリエイティブな事に専念する環境が整っていると感じました。

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5日目は初めて電車に挑戦。ガイドブックには遅くて、汚くて、危ないから絶対乗るなと書いてあったが、意外と普通。片道40円と激安だが、Uber使っても2〜300円なのでよっぽど渋滞していない限りはUberの方がいいかな。

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その日の夜はFatrick Tabada/Rae Red共同監督でBianca Balbuenaプロデューサーの「Si Chedeng at si Apple」を鑑賞。心温まるコメディで、フィリピン人と一緒に劇場で大笑いしました。これは大阪アジアン映画祭にふさわしい作品です。暉峻さん、よろしくお願いします!

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上映後のパーティー会場がまたおしゃれで、しかも飯が旨い!アップスケールなフィリピン料理屋さんで、オーナーは映画のプロデューサーもやってるようです。

Limbaga 77, Quezon City

Limbaga 77, Quezon City

6日目、一緒にMikhail Red監督の企画を進めているMicah Tadenaプロデューサーが働くポスプロスタジオに見学に行って来ました。ついたらまずはランチ。これがまた旨い。

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インテリアのセンスがいい。創作意欲がわきます。

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ADRが出来る部屋。手作り感があっていいですね。

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スタジオのオーナーがグレーディングをする部屋。ここで、「Birdshot」、「Kita Kita」、「Die Beautiful」、「Sunday Beauty Queen」等の名作がグレーディングされました。映画のグレーディングはオペレーターというよりは、アーティストという感じです。そんなアーティストの哲学を短時間で見せてもらいました。僕も次回作はここでグレーディングをお願いしたい。

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そして、オーナーの旦那さんはこの部屋でサウンドのミックスをします。フォーリーもできる。わくわくしてきますよね。羨ましい環境です。

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その後、映画祭の会場の一つであるCinematheque Centre Manilaへ。

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昔学校で使った懐かしいMoviola等の機械が。

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劇場の中はこんな感じで綺麗。

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帰りに、新しくできたミニシアター、Black Mariaに立ち寄る。

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マニラにはミニシアター(彼らはmicrocinemaと呼んでいる)が最近増えて来ており、若手の監督をサポートしているようです。ミニシアターが増えている、インディペンデント映画を観る若い客が増えている、ってのは本当に羨ましい環境です。

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隣はカフェ。

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そんな感じでその日がマニラ最後の夜となりました。下の写真はフィリピン名物のジプニー。映画ではジプニーに乗ってる人が全員殺されたりするのですが、現実ではそんな事はないらしいです。

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初めてのマニラでしたが、友達がたくさんいたせいか、初めてな感じが全くしませんでした。日本から近く、飛行機代は安く、現地の滞在費も安いので、これから頻繁に行きたいと思います。むしろフィリピンに移住したいくらい。現地で世話してくれた、Bradley, Pepe, Bebs, Bianca, Sheron, Jericho, Mikhail, Micha, Pamela, Giancarlo, Milo, Babyruth, Ria, Martika, Ruel, Carlo, etc.みんな、ありがとう!