友人の小原君が毎年発表しているコハデミー賞という賞があります。劇場、DVD、ネット配信含めて公開年に関係なく、小原君がその年に観た映画に贈る賞です。SNSを使わない小原君はLINEや社内メールで数人の友達に細々と紹介しているだけだったのですが、なかなか面白いので僕が代わりに皆さんにシェアしようと思います。

 

コハデミー賞特別編

オールタイムベストシーンランキング


タランティーノ監督の最新作、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」が上映となりました。

今回は、従来のタランティーノ節は少し薄まり、大人版タランティーノという印象でした。それでも、ラストシーンの演出は流石の一言、その瞬間は感無量で、感動をこらえるのに必死でした。

私には、絶対に映画館に見に行くと決めている監督が3人いますが、タランティーノもそのうちの一人。

今でも覚えている『パルプフィクション』の衝撃。全身の毛が逆立ったあのシーンをはっきり覚えています。そこで、今回はタランティーノ映画上映記念ということで、オールタイムベストシーンを発表いたします!


オールタイムベストシーンランキング


次点

・ニューシネマパラダイス

 サルヴァトーレが、アルフレードの形見の映画フィルムを上映するシーン。冷静に考えてこれが一番かもしれない。このシーンで泣けない人はいないだろう。


・グラントリノ

 偏屈だが骨のある老人を演じたら世界一のイーストウッド。その本質が最も現われたのは映画『ミリオンダラーベイビー』ではあるが、シーンとしての素晴らしさなら『グラントリノ』のラストシーンでしょうね。格好よいですよね。アジア人との交流というのもいいですよね。



5位

作品:『ロッキー2』

内容:ついにアポロとのタイトルマッチが決まったロッキー。しかし、試合に反対し、心労で倒れてしまった恋人エイドリアン。

倒れたエイドリアンに常に付き添い、練習をやめてしまうロッキー。そんなロッキーに対して、意識を取り戻したエイドリアンが「勝って!」と言う。

その言葉を聞いた瞬間、ロッキーの師匠のミッキーがロッキーに「なにぼやぼやしてんだい!」

といきなり怒鳴りだすシーン。


解説:引退を願うエイドリアンと、闘いたいロッキー。二人の間に溝があることがわかるが、エイドリアンが倒れたことでロッキーは既に決定している世界タイトルマッチ前だというのに練習を辞めてしまう。

せっかくの大チャンスを捨てようとするロッキーにやきもきする周囲を意に介さず、

エイドリアンのことだけを考えるロッキー。そして、意識を取り戻したエイドリアンにロッキーは引退を口にする。そんなロッキーにエイドリアンは一つのお願いをする。それは、『勝って』その一言を聞いて驚くロッキーに師匠のミッキーの怒声がひびく、

「なにぼやぼやしてんだい!」KYここに極まるというか、愛情たっぷりというか、こぼれんばかりの思いやりの心と心がひとつになった瞬間の素晴らしい痛快さ。これまでのモヤモヤが一気に吹き飛んでしまう。

エイドリアンの優しい声とミッキーのダミ声のコントラストもまた素晴らしい。シルベスタスタローンの脚本は、知的では無いが本能に訴えてくる。ベタなんだけど、スタローンがやると少し違う。多分、欲得を捨ててマジになれる人なんだろう。本気だから伝わるんだろう。



4位

作品:『黒猫・白猫』

監督:エミール・クストリッツァ


内容:アフロディダと強制結婚されそうになったザーレが、恋人のイダとひまわり畑の中に入っていくシーン。 


解説:天才エミールクストリッツァの『黒猫・白猫』は全編がひとつの狂想曲で、想像もつかないシーンの連続だ。全体的に超絶パワフルで美しく喜劇的な映像が続くが、このシーンの美しさは別格。美しく、初々しく、柔らかい。このシーンのためだけにこの映画は作られたんじゃ無いかと思われるくらい良いシーン。ひまわり畑と恋人は最高の取り合わせだ。


3位

作品:『カッコウの巣の上で』

監督:ミロス・フォアマン


内容:チカラを解放し、精神病院を脱走するチーフ。それを見た男が笑うシーン。


解説:この男の笑いこそ、究極の賛辞。この男に人生最高の瞬間を与えたのだから、笑わせたチーフは、それだけでも生きた価値があったと言える。そして、究極の皮肉でもある。チーフを笑わせてくれる人間がいなくなってしまったことで、チーフは腹をくくり、この笑いは生み出された。

チーフはもうめったに笑えない可能性があるが、一生分人を笑わせたのである。チーフの後ろ姿にはそんな切なさもあるし、その先に待つ新しい世界も感じさせる。チーフはその後、どうなったんだろうと思わずにはいられない。


2位

作品:『レナードの朝食』

監督:


内容:踊りに躊躇するレナードの手をとり、強引に踊る女の子のシーン。


解説:このシーンは本当に涙なくしては観られないだろう。

このシーンを作ったことでこの映画に関わった全ての人は生きた意味があったと言えるし、天国に行くことを許されるだろう。

なんてやさしくて、なんて素晴らしいシーンなんだろう。

レナードは救われた。最後に、ひとつの優しさが、レナードを救った。そしてあの女の子のやさしさは、いつか誰かにもらったモノなんだろう。レナードの朝食のこのシーンがいかに素晴らしいかということを書きたかったので、ここで書けてうれしい。実質的には、1位といってもいいくらいのシーン。絶対絶対に見た方がいいだろう。やさしさが最強なんである。



1位

作品:『パルプフィクション』

監督:クエンティン・タランティーノ


内容:ゼットの家から逃げれたはずのブッチが、宿敵マーセルスを助けるために武器をさがし、アレを見つけるシーン。


解説:このシーンを最初に観た時のことは今でもはっきりと覚えていて、大阪の八尾の寮の15インチくらいの小さなTVで、椅子に座ってみた。怒濤の展開に食い入るように画面を見ていて、すごい、すごいと思いながら次の展開を待っていて、最後にアレを出されてしまった瞬間に頭がしびれるくらいすごいと思って「惚れた!」と思った。

映画ウイルスが僕の体に入ってしまった瞬間でした。

映画としてはもっとすごい映画もたくさんあるだろうけれど、僕にとってはやっぱりこの映画が一番なんです。この映画だけはAIには作れないでしょうね。

笑いとも感動ともハードボイルドともちがう、大喜利の連続というか、映画愛のもたらした奇跡の結晶体ですから。この感動は突き詰めれば愛なんですよね。タランティーノの映画への愛に僕は感動したんです。

何かを愛する人間になりたいなって思いますね。人間ってのは、面白いですね。