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Rotterdam Lab 参加

 しばらくかなり忙しくブログ書けてなかったのですが、パリからルクセンブルクへ向かうバスの中で久々に書いています。仕事での出張とはいえ、たまにはこういう時間もいいですね。参加したRotterdam Labでも、どんなに忙しくても休みは必ず取れと言われました。

そのRotterdam Labが何かと言うと、ロッテルダム映画祭期間中に、世界中から60人の若手プロデューサーを集めて、色んな事を教えてくれるプロデューサー養成ワークショップなのです。映像産業振興機構 VIPO から推薦して頂き、参加してきました。

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初日は自己紹介。60人参加者がいるのですが、1人2分ずつ、30人に2時間かけて自己紹介しました。さすがに60人全員は名前覚えれないだろうなと思いつつ…

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最初の講義はピッチの練習。映画祭やエレベーターで出会った人に5分で自己紹介や企画のピッチをするという設定で、練習も準備もなしでピッチさせられました。去年Busan Asian Film Schoolで3ヶ月ピッチの練習をして、Talents Tokyoでも練習したのに、全然ダメ。一方、欧米や南米の参加者はすらすらと分かりやすく喋ってる。アジアではピッチがうまい人があまりいないのに、この実力の差には驚きました。同じ人間でも人種によってうまい下手がこうもはっきりとするものなんだろうか。 

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2日目以降は ストーリーテリング、ファイナンス、ポスプロ、コミュニケーション、共同製作、マーケティング、会社経営等についての講義で、他のワークショップで学んだ事が多かったので、復習プラス新たな発見という感じで5日間のプログラムを無事終えました。

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 でもこういったワークショップの醍醐味はやはり人との出会いです。僕も以前に参加したTies That BindやBusan Asian Film Schoolで出会った仲間と一緒に仕事しているし、それ以上にかけがえのない人生の友達になっています。今回のRotterdam Labは今まであまり出会う機会のなかったヨーロッパ、アフリカ、中東、北米、南米の若手プロデューサーと知り合えたので、またここから何かが生まれると思います。

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去年Talents Tokyoで発表した塚田万理奈監督の「刻」は6〜10年かけて16mmフィルムで撮影するという企画なのですが、最後のシーンはブエノスアイレスで撮影する事になっています。ロッテルダムで出会ったアルゼンチンのプロデューサーとは10年後ブエノスアイレスで会おうと約束しました(笑)。

アルゼンチンのプロデューサー  Eugenia。チェ・ゲバラの遠い親戚らしい。

アルゼンチンのプロデューサー  Eugenia。チェ・ゲバラの遠い親戚らしい。

Labの最終日はお決まりのパーティーという事でこんな感じになりました。

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映画はあまり観る時間がなかったのですが、映画祭の雰囲気の写真もちょっとだけ掲載しときます。 

 

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ちなみにKavich Neang監督のドキュメンタリー「Last Night I Saw You Smiling」はかなり良かった。 

ちなみにKavich Neang監督のドキュメンタリー「Last Night I Saw You Smiling」はかなり良かった。 

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といった感じの初めてのロッテルダムでしたが、こんな素晴らしいワークショップに推薦してくれたVIPOの皆様、本当にありがとうございました。この経験を活かして、日本のインディーズ映画を盛り上げていきたいと思います! 

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『見栄を張る』6/16〜神戸公開!

僕がプロデュースした映画『見栄を張る』が、ついに6/16(土)より僕の地元神戸で公開されます!

藤村明世監督長編デビュー作

『見栄を張る』

 

6/16(土) 〜 6/22(金) 元町映画館にて公開!

出演:久保陽香、岡田篤哉、似鳥美貴、辰寿広美、真弓、齋藤雅弘、時光陸、小栁圭子

上映スケジュール:20:30〜

元町映画館
http://www.motoei.com/schedule.html

 

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3月から東京のユーロスペースと横浜シネマリンの2スクリーンで2週間限定で始まった『見栄を張る』の劇場公開ですが、お客様の反応が良好でユーロスペースでは上映期間延長になり、その後も名古屋シネマテーク、下北沢トリウッド、大阪のシネ・ヌーヴォと徐々に上映していただける映画館が増えて来ています。これもSNSや口コミで広めて頂いたお客様のお陰で、本当に感謝しています。

そして、6月15日からは撮影地の和歌山県にあるジストシネマ和歌山 での上映が始まり、6月16日からは神戸の元町映画館での上映が始まります。

大阪のシネ・ヌーヴォは今の住まいから自転車で10分の地元、ジストシネマ和歌山は撮影の時多くの人々にお世話になった撮影の地元、そして元町映画館のある神戸は僕が育った 地元です。

僕は神戸市北区の育ちで、映画が好きになったきっかけは、中学生の頃に野球部の部活をサボって通った神戸の映画館でした。実家の最寄りの駅から三宮までは電車で片道700円位かかるので、友達と色々安く電車に乗る方法を工夫して、駅員さんに怒られたりしていました。

ハーバーランドにあるシネモザイクでは1枚のチケットで1日3本映画観たりしていました。学生バイトのスタッフさんも見て見ぬ振りしてくれてましたが、流石に1日3本観ると1本目と2本目はよく覚えていないという感じでした。

よく行った覚えがある映画館は、シネモザイク、阪急会館、神戸国際松竹あたりですが、特に神戸国際松竹はスクリーンがでっかく、大迫力だった記憶があります。当時の大阪の北野劇場と神戸国際松竹は今の109シネマズ大阪エキスポシティのIMAXより映像的にも音的にも迫力があった気がするのですが、子供だったからですかね。 

電車の音がうるさい映画館もあった気がします。 

 当時観た一番記憶に残ってる映画は中学2年の時に観た『パルプ・フィクション』。スクリーンやロードショーという雑誌はいつも買って読んでいたのですが、プレミアかなんかそんな名前の新しくできたおしゃれな映画雑誌があって、それに『パルプ・フィクション』が特集されていたので、11月の公開初日の初回に観に行きました。

映画館の名前は覚えていないのですが、そんなに大きくないビルの中にある小さな映画館だったと思います。それまでも映画が好きだったのですが、中学2年の秋に『パルプ・フィクション』を観た後、理由は今でも分かりませんが、初めて映画に関わる仕事をしたいと思いました。 

中学3年になると映画は大阪に観に行く事が多くなったのですが、なぜか大阪の映画館の記憶よりも神戸の映画館の記憶の方が強く残っています。今でも神戸の街を歩いていると、当時の記憶が蘇ります。 

そんな神戸の街で、自分がプロデュースした映画が上映される日が来るとはつい最近まで考えた事もなかったのですが、上映前日の昨日劇場に挨拶に行って、久々に元町を歩いて、色んな思いがこみ上げて来ました。

6月22日までの1週間の公開となりますが、僕は毎日劇場に顔を出すつもりです。長い事会っていない友達でも、もしたまたまこのブログを見かけて、劇場に足を運んでくれたら嬉しいです。

20:30からの上映なので上映後終電まであまり時間はないと思いますが、もし来てくれたら飲みにでも行きましょう。 

また、主演の久保陽香さんも神戸の出身です。

6月17日の上映前には久保陽香さんの舞台挨拶もあるので、ぜひこの機会にお越し頂きたいと思います。

そして、大阪のシネ・ヌーヴォでも引き続き6月29日まで、ジストシネマ和歌山では6月28日まで上映してますので、よろしくお願いします!

 

http://miewoharu.com/theater.html

 

見栄を張る
プロデューサー 今井太郎

『見栄を張る』 6/15〜 和歌山公開!

6月9日より大阪での公開が始まった『見栄を張る』ですが、6月15日より遂にロケ地の和歌山で公開が始まります!

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和歌山ロケ長編映画『見栄を張る』

監督:藤村明世
主演:久保陽香

6/15(金)〜6/28(木) @ ジストシネマ和歌山

上映スケジュール

6/15(金)〜6/16(土)  19:00〜
6/17(日)                   9:40〜
6/18(月)〜6/21(木)   9:40〜 / 19:00〜
6/22(金)〜6/28(木)  未定

ジストシネマ和歌山
http://www.o-entertainment.co.jp/xyst_cinema/wakayama/schedule.html

 

この映画は2015年12月下旬〜2016年1月頭にかけて撮影したのですが、とあるご縁があり、殆どのシーンを海南市、紀美野町、有田川町で撮影しました。

撮影中は海南市、紀美野町、有田川町の皆さまに大変お世話になり、地元の皆さまと一緒に作り上げた映画だと思っています。お世話になった皆さまのご期待に応える為、海外の映画祭で上映したり日本全国で公開して和歌山の風景や人々の美しさを多くの人に観てもらいたいと思い、今まで頑張ってまいりましたが、ジストシネマという大きな映画館での上映という形で戻って来れて作り手としてこんなに嬉しい事はありません。

書きたい事はたくさんあるのですが、15日と16日は藤村監督の舞台挨拶もありますので、劇場にお越し頂き、監督の声を聞いて頂ければと思っております。

そして、和歌山公開を記念して、14日と17日にはこんなイベントも開催します!

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下北沢トリウッドでも17日まで、大阪のシネ・ヌーヴォでは29日まで引き続き上映してますので、お越し頂ければ嬉しいです!

下北沢トリウッド
http://tollywood.jp/tt.html

シネ・ヌーヴォ
http://www.cinenouveau.com/schedule/schedule1.html

この映画は撮影当時25歳の女性が監督した28歳の女性の物語です。藤村明世監督は是枝裕和氏プロデュースの『十年 Ten Years Japan』の監督の一人に選ばれた注目の若手女性監督です。ぜひ、若い女性に観ていただきたい映画です。

和歌山での公開をきっかけに今まで以上に多くの人に届く事を願っています!

『見栄を張る』プロデューサー
今井太郎

『見栄を張る』6/9〜大阪公開!

こんにちは、harakiri filmsの今井太郎です。Busan Asian Film Schoolの1学期目が終わり、夏休みで一旦大阪に戻っています。

そしてタイミングよく、『見栄を張る』が6月9日より大阪で公開されます!

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藤村明世監督長編デビュー作『見栄を張る』

主演:久保陽香

6/9〜6/15の上映スケジュール
シネ・ヌーヴォ 18:30〜20:05

6/16〜6/22の上映スケジュール
シネ・ヌーヴォX 13:30〜15:05

6/23〜6/29の上映スケジュール
シネ・ヌーヴォX 17:00〜18:35

 

シネ・ヌーヴォ
http://www.cinenouveau.com/sakuhin/miewoharu.html

 

この映画は第12回CO2(シネアスト・オーガニゼーション大阪)の助成作品であり、たくさんの大阪のスタッフとキャストに支えられて出来上がりました。特に藤村監督は東京在住で大阪に知り合いが全くいなかったので、彼女にとって大きなチャレンジになりましたが、やっとお世話になった大阪の皆さんに大きなスクリーンで作品を観てもらえる機会がやってきました。

大阪では2016年の第11回大阪アジアン映画祭でも上映させて頂きましたが、その時見逃した人も、一度観た人も、この機械に観に来て頂きたいです。

3月18日からのユーロスペースと横浜シネマリンでの公開は藤村監督、主演の久保陽香さん始め、宣伝の平井さん、配給の太秦さん、劇場の皆様、東京方面のスタッフのみんな、出演者のみんな、沢山の人のご協力もあり、この規模の映画としては奇跡的なヒットになりました。ユーロスペースでは当初2週間の予定でしたが、1週間延長して頂き、5/26からは下北沢トリウッドでリバイバル上映もして頂いています。

私は釜山の学校に行っていた為、東京の劇場には足を運べませんでしたが、Twitter、Instagram、Facebook、Filmarks等でびっくりする位多くの反響を目の当たりにしていました。

シネ・ヌーヴォには私の住居から近いですので、今回は私も自転車で劇場に顔を出すつもりです。

シネ・ヌーヴォは大阪在住の映画関係者にとって憧れの映画館であり、シネ・ヌーヴォで公開ができるのは、大変嬉しい限りです。ちなみに撮影前から大阪での公開はシネ・ヌーヴォでしたいと思っていました!

大阪での公開も大成功にする為に、大阪の皆さんにもTwitter等で拡散しまくって頂けるとありがたいです。

ハッシュタグ #見栄を張る でお願いします!

この映画が成功するという事は、藤村監督やプロデューサーの私だけでなく、大阪のインディーズの映画制作者にとって大きな意味のある事だと思っています。一つ成功事例ができると、大阪のインディーズ映画シーンがもっともっと盛り上がると信じています。
 

Filmarksでもたくさんのレビューを頂いています!
https://filmarks.com/movies/67470

そして今年のカンヌ映画祭で『万引き家族』がパルム・ドール受賞の是枝裕和監督からもコメントを頂いています。
http://cinefil.tokyo/_ct/17151145

藤村明世監督は是枝裕和エグゼクティブプロデューサーのオムニバス映画『十年 Ten years Japan』の一話『その空気は見えない』(池脇千鶴主演)の監督もしています。
https://www.fashion-press.net/news/39506


私も是枝監督とはカンヌの中華料理屋さんで偶然お会いしたのですが、私の通っている釜山の学校には去年見学に行ったらしく、頑張れと言ってくれて、大変嬉しかったです。

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シネ・ヌーヴォでの上映は6/9〜6/15、シネ・ヌーヴォXでの上映は6/16〜6/29となりますが、シネ・ヌーヴォの方がヌーヴォXよりスクリーンが大きいですので、ぜひ最初の週にシネ・ヌーヴォにお越し下さい。最初の週が毎日満席になれば、翌週からも大きなスクリーンでの上映になるかもしれません!

老若男女楽しめる映画ですが、特に何かにくすぶっている若い女性に観て頂きたい映画です。

映画はお客さんに観て頂いて初めて意味があるものですので、皆さんのお力をどうかお貸しください。よろしくお願いします!

 

『見栄を張る』プロデューサー 

今井太郎

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カンヌに行ってきました!

釜山に来てからもうすぐ3ヶ月になります。普段の仕事に加えて、学校での勉強が加わり、『あなたの宇宙は大丈夫ですか』の大阪アジアン映画祭での上映や、『見栄を張る』の劇場公開もあったのでかなり忙しかったのですが、その間にイタリアのFar East Film Festival、 韓国の全州映画祭、そしてカンヌ映画祭に行ってきました。

今回、カンヌに行くきっかけとなったのは、フィリピンのSheron Dayoc監督と進めている企画『My Name is Laila』がCannes Producers NetworkでのSpotlight on the Philippinesというイベントに招待されたからです。 

主な目的は『My Name is Laila』の資金集めでしたが、ついでにMikhail Red監督との企画『Quantum Suicide』、宮崎大祐監督との日比合作企画『あわれみ』、Li Huiyi監督との企画『Keep Me in the Sun』、16ヶ国から集まった21人の若手プロデューサーが作るAFiS短編プロジェクトの売り込みもしてきました。

時間がないのであまり詳しく書けませんが、一番嬉しかったのは、去年と今年ウーディネで偶然出会ったCristina Massaro監督が『見栄を張る』を気に入ってくれたらしく、わざわざ手作りの一冊の企画書をカンヌまで持ってきてくれた事です。

いい企画がたくさん増えて来ているのですが、まずは来年、Mikhail Red監督のSFスリラー『Quantum Suicide』を大阪で撮影したいと思っています!

打ち合わせで忙しく僕は観れなかったのですが、 今年のカンヌで一番評判が高かったのは、Bi Gan監督の3Dアートハウス中国映画『Long Day’s Journey into Night』。可能性は低いと思うけど、富川でも上映して欲しい!

それにしても全州で観たHu Bo監督の『An Elephant Sitting Still』も衝撃的だったし、ここに来て中国の若手監督が台頭してきているのを感じます。

 最後に、カンヌで再会した友達の写真、掲載しておきます!

 

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『見栄を張る』劇場公開スタート!

こんにちは、harakiri filmsの今井太郎です。釜山に来てインフルエンザにかかったり、学校も始まったばかりでばたばたしていたので、告知が遅れてしまったのですが、3/24から僕がプロデュースした『見栄を張る』の劇場公開が始まりました!

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藤村明世監督長編デビュー作『見栄を張る』

主演:久保陽香

3/24〜3/30の上映スケジュール
横浜シネマリン 17:20〜
ユーロスペース 19:30〜

3/31〜4/6の上映スケジュール
横浜シネマリン 16:30〜
ユーロスペース 19:30〜(4/1のみ18:00〜)

横浜シネマリン
https://cinemarine.co.jp/to-prosper/

ユーロスペース
http://www.eurospace.co.jp/works/detail.php?w_id=000243

この作品は2年以上前に、藤村明世監督始めスタッフと出演者と和歌山の皆さんと一緒に一生懸命作った思い入れのある作品です。藤村監督がCO2(シネアスト・オーガニゼーション大阪)からもらった助成金で作った映画なのですが、助成金だけでは作れる作品ではなかったので、クラウドファンディングでたくさんの人々にご協力頂き、藤村監督と僕自身もお金を借りたりして作り上げました。

僕は3年前に会社を辞め、インディペンデントの映画プロデューサーとして食っていこうと決めたのですが、すぐにこの企画にめぐりあえて本当によかったと思っています。その後経済的にはかなり厳しい状況が続いているのですが、色々な人に助けられてきました。そして、精神的に頑張って来れたのは、みんなで作ったこの作品を世界中の映画祭に出品して、全国劇場公開を実現させたいという強い思いがあったからだと思います。

藤村監督の強い意思にも支えられてきました。最近はたくさんの若い監督とお付き合いさせて頂いていますが、藤村監督のやると決めた事はやりとげる意思の強さは、僕の知っている監督の中では一番だと思います。この監督はこれからもっと大きな舞台で活躍していくでしょう。

という僕にとってはかなり思い入れの強い作品なのですが、観て頂いたお客さんからTwitter等でたくさんの反響を頂いています。ぜひ、もっと多くのお客さんに劇場で観て頂きたい映画です。横浜シネマリンとユーロスペースは4/6までですが、毎日満席になる位お客さんが来て頂ければ、もっとたくさんの劇場で公開できて、全国の皆さんにも観て頂けると期待しています。

Filmarksでもたくさんのレビューを頂いています!
https://filmarks.com/movies/67470

 そして是枝裕和監督からもコメントを頂きました!

 http://cinefil.tokyo/_ct/17151145

 是枝裕和監督は20年ほど前に「幻の光」を観てからずっと大ファンで、今でも一番好きな邦画は何か聞かれたら「幻の光」と答えてます。そんな是枝監督からコメントを頂けたのは感慨深いです。

この規模の自主制作映画で制作費を回収するのはほぼ不可能なほどハードルが高いのですが、何としてでも成功させて新しい成功事例を作りたいと本気で考えています。この映画が成功すれば、また次の作品に投資できるので、もっとこれからも面白いオリジナル作品を皆さんにお届けできるようになります。持続的に面白い作品を作り続ければ、日本のインディペンデント映画業界の発展につながると信じています。

本来であれば劇場に毎日足を運んでお客さんにご挨拶すべきなのですが、今後の活動の為に釜山のAsian Film Schoolという学校に留学中でビザの関係で一時帰国が出来ません。皆さんには毎日劇場に来て頂けたらうれしいのですが(笑)、ご家族やお友達に猛烈プッシュして頂いたり、TwitterでツイートとRTしまくって頂いたり、FIlmarksにレビュー書いて頂いたりすると絶対大きな原動力になるので、強くお願いしたいと思います。

ぜひ、劇場に足を運んでください!皆さんの期待は裏切りません。老若男女、赤ちゃんからひいおじいちゃん、ひいおばあちゃんまで楽しめる映画ですが、特に何かにくすぶっている若い女性に観て頂きたい映画です。

映画はお客さんに観て頂いて初めて意味があるものですので、皆さんのお力をどうかお貸しください。よろしくお願いします!

 

『見栄を張る』プロデューサー 

今井太郎

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韓国に留学してきます

3月に入り、急に暖かくなってきましたね。この冬は暖房のない極寒の部屋で過ごしましたが、何とか布団を3枚重ねにしジャンパーを着たまま寝たりして乗り越える事ができました。その間の電気代はなんと、月500円!ガスも通ってないのでガス代は無料!そして部屋があまりにもボロいので家賃は無料という、超節約生活を送ってきましたが、不思議な事に全く苦にはなりませんでした。

そんな中、僕は3月~10月まで釜山のAsian Film School (AFiS)というフィルムスクールに留学する事になり、ついさっき釜山に到着しました!

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AFiSは釜山のフィルムコミッションが運営する去年できたばかりの学校で、僕は2期目の生徒となるのですが、初めての日本人の生徒になるようです。僕が参加するのはInternational Film Business Academyというプロデューサー向けのコースで、アジアから選ばれた20人のプロデューサーの1人に入れてもらえました。

授業料、滞在費、渡航費全て釜山フィルムコミッションが負担してくれるというかなりありがたいプログラムなのですが、応募が一番多かったフィリピンが200人なのに対し、日本からの応募は4人しかいなかったようです。

各生徒はそれぞれのプロジェクトを企画開発するという課題を持って参加するのですが、僕はフィリピンのSheron Dayoc監督との合作映画の企画で参加します。この企画は来年の1月撮影が目標なので、何としてでもこのプログラムを通して前に進めたいと思っています。

そして、他の生徒と一緒に別の企画を作り、今年の釜山国際映画祭で企画の発表を行う予定になっています。カリキュラムは以下のリンクの通りなのですが、僕が特に興味があるのは Film & Psycology、Film Budgeting & Financing、Storytelling & Script Development、Film Marketing & Distribution あたりですかね。

 http://www.afis.ac/NcPageLink.do?link=afisen/ifba/courses&_menuNo=78

プロデューサーが長期で、しかも無料で映画製作について勉強できる学校は他に聞いた事がないので、たまにこのブログやFacebookで状況を報告させてもらおうと思います。

実は僕は初めて韓国に来たのは一昨年の釜山国際映画祭だったのですが、まさかその一年半後に釜山に留学する事になるとは思ってもいませんでした。海外の映画祭やワークショップに行っていつも思うのは、他のアジア諸国に比べて、日本人の若手プロデューサーが少なすぎる事です。今後も毎年1人は日本の若手プロデューサーがこの学校に参加できるよう、日本人一号として頑張って来ようと思います。

そして、僕が常に考えている事ですが、いつか大阪をアジアのインディペンデント映画製作のハブにしたいと思っています。日本だけでなく、アジアの若手監督やプロデューサーが集まる場所を大阪に作れたら楽しそうですよね。その為にも釜山でたくさん友達を作って来ます。

明日は初日ですが、なんと朝の8時から韓国語の授業です。そして、夕方まで授業があるようです。15年ぶりの学生生活に期待と不安を抱きつつという感じの中、今月は大きなイベントが2つあります!


3/18 大阪アジアン映画祭にて、日韓合作映画「あなたの宇宙は大丈夫ですか」上映!

10:40am @ ABCホール

harakiri filmsが制作協力した作品です。


3/24~藤村明世監督「見栄を張る」ロードショー!

@ ユーロスペース、横浜シネマリン

僕がプロデュースした作品です。


更に3/17には経産省のプロデューサー講座での企画発表もあり、更に他にもややこしい問題にたくさん直面しているのですが、みなさんが映画を観に来てくれたら何とか乗り越えれるのかなと思っております!


harakiri films

今井太郎

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「あなたの宇宙は大丈夫ですか」大阪アジアン映画祭上映決定!

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harakiri filmsが制作協力した日韓合作映画「あなたの宇宙は大丈夫ですか」が下記日程にて第13回大阪アジアン映画祭にて上映される事になりました!

 

あなたの宇宙は大丈夫ですか

3/18(日)10:40am @ ABCホール

 

出演:カンドゥ、堀春菜、ジ・デハン、すのう、辻凪子、里崇、YOUKI、オル・トグン

監督:ベク・ジェホ、イ・ヒーソップ

 

作品解説:大阪を舞台にした日韓合作の音楽映画。元The Jaduのカンドゥと堀春菜を主演に迎え、日韓両国のミュージシャンの友情を描く。出張のため大阪に来たウジュは、事故で行方不明になったデジョンらしき人物を見かける…。

 

前売券はチケットぴあにて3/16まで発売しています。大阪で撮影された映画ですが、次の日本国内での上映は未定です。この機会にぜひお越しください!

http://www.oaff.jp/2018/ja/ticket/index.html

Pコード 558-161

マニラのインディーズ映画潜入ルポ

今、フィリピンのインディーズ映画が一番面白い!と思っているのですが、その秘密を探りにマニラに行ってきました。

空港に着いたら事前に予約していたポケットWi-Fi(1週間で1,700円!)を受け取り、Uberでマカティのホテルへ(8km、20分ほどの乗車で300円!)。まずTies That Bindのクラスメートで「Speed, Glue & Shinki」というドキュメンタリー映画を一緒に作っているBradley Liew監督と会った場所がこんな小洒落たカフェ。ここでマニラのイメージが一変しました。

Yardstick Coffee, Makati

Yardstick Coffee, Makati

カフェの隣のアジアン・フージョンレストランで夕食後、ホテルで「Speed, Glue & Shinki」のポスプロの打ち合わせ。

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それから秘密の作戦会議をして、初日は終わり。

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2日目は時間に余裕があったので、観光がてら城塞都市イントラムロスへ。思ったより綺麗な道路に驚き。というか、マニラは汚くて危険だという事前情報はかなり古いのかも知れない。商社で働いていた時に何度も行ったインドに比べると全然ましだ。

世界遺産サン・アグスティン教会に置かれている狛犬のような石像がなんとも不思議。どうやら中国から送られた獅子らしいですが、カトリック教会を守る狛犬は世界でもここだけではないでしょうか。インドの寺院でも似たようなものを見た記憶があるので、ルーツはきっとインドに違いない。

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イントラムロスの中はまるでヨーロッパのよう。色んな国々を旅しましたが、今までヨーロッパ以外でこんなにヨーロッパっぽいとこは見たことない。

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フィリピンにまさかこんな立派な大聖堂があるとは思ってもいませんでした。ヨーロッパの厳重に管理された古い教会とは違って、管理が甘いというか、生々しく身近に展示物等見れるので、面白い体験でした。

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その後、「Speed, Glue & Shinki」のPepe Dioknoプロデューサーがお勧めのアートスペース HUB: Make Labへ。マニラにもこんな場所があるんですね。

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そしてUberで1時間半かけてケソン・シティへ。その日はマニラでASEAN会議が開かれていた為、Uberのドライバーも人生でこんなに渋滞した事ないと言っていました。メトロ・マニラの人口は1,155万人で、その中でも一番人口が多く、面積が広いのがケソン・シティ。インディペンデントの映画関係社が多く住んでるのもケソン・シティらしい。下の写真はのケソン・シティの散髪屋さん。

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夜はMikhail Red監督にDohtonboriというお好み焼き屋さんに連れて行ってもらいました。大阪から来てすぐにお好み焼きかよ!と思ったのですが、大阪で僕が連れて行ったお好み焼きがあまり美味しくなかったので、こっちの方が旨いというのを証明したかったようです… Mikhail Redは「Birdshot」がアカデミー賞外国語映画賞ノミネートのフィリピン候補に選ばれた為、翌日からアメリカに旅立ったのですが、わざわざ会いに来てくれました。

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3日目の朝、テレビをつけるとCNNに「Speed, Glue & Shinki」のPepe Dioknoプロデューサーが!彼が作っている旅行番組のようです。

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その日は昼頃にSheron Dayoc監督が迎えに来てくれて、Milo Sogueco監督のマンションへ。昼間から夜までずっとウィスキー飲んでたので、かなり酔っ払いましたが、こうやって才能のあるfilmmaker達が集まるのが、面白い作品が続々と出て来る源泉なのだと感じました。そしてみんなポジティブな内容の会話が多いのが、気持ちいいです。うらやましい環境だ。マニラに引っ越したくなりました。

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酔っ払ったまま夜はフィリピンの若手監督達が集まるポスプロスタジオへ。翌日からCinema One Originalという映画祭が始まる為、知り合いのfilmmaker達を何人か見かけました。

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こういう部屋がいくつかあるのですが、こういうのを今僕が住んでいる大阪のボロアパートでやりたい!僕がイメージしていた理想のインディペンデント映画のポスプロスタジオがここにあったので、感激!

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ここは安価に編集やグレーディングができて、みんなが集まる場所になっています。ビルのオーナーの本業はソーセージらしいので、1階の冷凍庫からソーセージをもらえるそうです。悲しいかな日本のインディーズ映画は海外のインディーズ映画に比べてポスプロのクオリティの低さをよく言われます。日本の映画が海外の映画祭になかなか選ばれないのは、画質や音が映画ではなくテレビっぽいからだとよく言われます。日本の場合は人件費もかなり高いですし、スタジオもテレビやCMの仕事をメインにこなしているので、仕方ない事だとは思いますが、こういうインディペンデント映画に特価したスタジオを大阪に作れば、日本のレベルもアップするのかなと思っています。フィリピン映画から低予算でレベルの高い作品がたくさん生まれて来るのは、このように若者が集まって作業できる場があるのが大きいのではないでしょうか。

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4日目、Cinema One映画祭会場へ向かう途中、話題のミニシアターCinema 76に立ち寄る。友人のBabyruth監督の「Sunday Beauty Queen」が公開中だった。

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中に入ってみると、今一緒に企画を進めているSheron Dayoc監督の「Women of the Weeping River」とMikhail Red監督の「Birdshot」のポスターが!この映画館を運営するTBAという会社が両作品に出資しているからのようですが、フィリピンではTBAという会社がキーのようです。元々別の事業で儲けていた会社がインディペンデント映画にも出資するようになったらしいのですが、他の国と違うのは、インディペンデント映画が結構ヒットしてしまったようです。別の会社の作品ですが、大阪アジアン映画祭でも上映されたインディペンデント映画の「Kita Kita」は制作費2千万円で、興行収入は6億円を突破しました。日本ではインディーズ映画がそれなりの規模で公開される事はありえないですが、フィリピンではインディペンデント映画の興行収入が商業映画を抜いてしまったそうです。今では、フィリピンの20代や30代のインディペンデントのプロデューサーや監督は日本で言う東宝のような大手のスタジオに出資してもらって映画を作っています。なぜ、フィリピンはそんなに熱いのかというと、日本は高齢化社会なのに対し、フィリピンは若い人口が多いからだと思います。監督やプロデューサーは20代〜30代が多く活躍していて、出資者も若く、配給会社の担当者も若く、劇場の担当者も若く、観客も若いという形態が世界でも稀に見るいいビジネスモデルを形成しているのだと思います。

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そして Cinema One映画祭のオープニング会場で、3年前に一番最初に知り合ったフィリピン人監督のGiancarlo Abrahanと再会。新作の「Paki」がコンペに出ていたけど、観れなくてごめん!大阪アジアン映画祭で観たい!!

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映画祭のオープニングで上映開始が大幅に遅れているにも関わらず、歌を歌い出す司会のお姉さん。こんなノリのいい映画祭は初めてですが、僕がもし映画祭をやるなら、こんなノリでやりたい。日本の映画祭は堅苦しい映画祭が多いので、一つくらいこういう映画祭があってもいいのでは。

ちなみに、オープニング上映の作品は「スリー・ビルボード」というマーティン・マクドナー監督のハリウッド映画でした。これが思いがけなく、かなり良かったです。先月釜山国際映画祭で観た「シェイプ・オブ・ウォーター」がここ数年でダントツに一番面白いハリウッド映画だと思っていたのですが、「スリー・ビルボード」も負けず劣らず面白いです。2つともぶっ飛んでいて面白い。「スリー・ビルボード」は今までで観たブラックコメディで一番面白いかも知れません。来年のオスカーの他の候補は観てないので分かりませんが、現時点での勝手な僕の予想です。

作品賞:シェイプ・オブ・ウォーター
監督賞:マーティン・マクドナー(スリー・ビルボード)
主演男優賞:ウディ・ハレルソン(スリー・ビルボード)
主演女優賞:フランシス・マクドーマンド(スリー・ビルボード)
助演男優賞:サム・ロックウェル(スリー・ビルボード)
脚本賞:スリー・ビルボード
美術賞:シェイプ・オブ・ウォーター
撮影賞:シェイプ・オブ・ウォーター
編集賞:スリー・ビルボード
視覚効果賞:シェイプ・オブ・ウォーター
衣裳デザイン賞:シェイプ・オブ・ウォーター

当たったら誰か飯おごってください(笑)

そして、映画を堪能した後、ローカルフードに初挑戦。この焼きそばみたいなのがかなりいける。昔LAで食べたフィリピン料理がまずかったので、フィリピン料理はまずいと思っていましたが、本場の飯は旨い!しかもたらふく食って100円位だそうです。Martika監督がおごってくれました。大阪での暮らしは毎晩納豆ご飯というひもじい思いをしていますが、マニラの方が、安くて、上手くて、たらふく食えます!笑い事ではなく、生活費が安いというのは、アーティストにとっては重要な事です。東京ではまずお金を稼がなくては生きていけません。マニラにはお金はなくても、クリエイティブな事に専念する環境が整っていると感じました。

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5日目は初めて電車に挑戦。ガイドブックには遅くて、汚くて、危ないから絶対乗るなと書いてあったが、意外と普通。片道40円と激安だが、Uber使っても2〜300円なのでよっぽど渋滞していない限りはUberの方がいいかな。

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その日の夜はFatrick Tabada/Rae Red共同監督でBianca Balbuenaプロデューサーの「Si Chedeng at si Apple」を鑑賞。心温まるコメディで、フィリピン人と一緒に劇場で大笑いしました。これは大阪アジアン映画祭にふさわしい作品です。暉峻さん、よろしくお願いします!

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上映後のパーティー会場がまたおしゃれで、しかも飯が旨い!アップスケールなフィリピン料理屋さんで、オーナーは映画のプロデューサーもやってるようです。

Limbaga 77, Quezon City

Limbaga 77, Quezon City

6日目、一緒にMikhail Red監督の企画を進めているMicah Tadenaプロデューサーが働くポスプロスタジオに見学に行って来ました。ついたらまずはランチ。これがまた旨い。

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インテリアのセンスがいい。創作意欲がわきます。

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ADRが出来る部屋。手作り感があっていいですね。

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スタジオのオーナーがグレーディングをする部屋。ここで、「Birdshot」、「Kita Kita」、「Die Beautiful」、「Sunday Beauty Queen」等の名作がグレーディングされました。映画のグレーディングはオペレーターというよりは、アーティストという感じです。そんなアーティストの哲学を短時間で見せてもらいました。僕も次回作はここでグレーディングをお願いしたい。

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そして、オーナーの旦那さんはこの部屋でサウンドのミックスをします。フォーリーもできる。わくわくしてきますよね。羨ましい環境です。

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その後、映画祭の会場の一つであるCinematheque Centre Manilaへ。

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昔学校で使った懐かしいMoviola等の機械が。

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劇場の中はこんな感じで綺麗。

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帰りに、新しくできたミニシアター、Black Mariaに立ち寄る。

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マニラにはミニシアター(彼らはmicrocinemaと呼んでいる)が最近増えて来ており、若手の監督をサポートしているようです。ミニシアターが増えている、インディペンデント映画を観る若い客が増えている、ってのは本当に羨ましい環境です。

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隣はカフェ。

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そんな感じでその日がマニラ最後の夜となりました。下の写真はフィリピン名物のジプニー。映画ではジプニーに乗ってる人が全員殺されたりするのですが、現実ではそんな事はないらしいです。

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初めてのマニラでしたが、友達がたくさんいたせいか、初めてな感じが全くしませんでした。日本から近く、飛行機代は安く、現地の滞在費も安いので、これから頻繁に行きたいと思います。むしろフィリピンに移住したいくらい。現地で世話してくれた、Bradley, Pepe, Bebs, Bianca, Sheron, Jericho, Mikhail, Micha, Pamela, Giancarlo, Milo, Babyruth, Ria, Martika, Ruel, Carlo, etc.みんな、ありがとう!

プチョン It Project

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7/13〜7/23までソウルの近くで開催されているプチョン国際ファンタスティック映画祭に初めて行ってきました!

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今回の目的はジャンル映画企画マーケットのIt Project参加。フィリピンのMikhail Red監督のホラー映画企画「Eerie」の共同プロデューサーとして、参加してきました。

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一緒に参加したMikhail Red、プロデューサーのMicah Tadena、脚本家のMariah Reodicaの3人はなんと全員20代で、参加チームの中でダントツ最年少。僕が平均年齢を引き上げてしまいました(笑)

しかし若いとは言っても、企画マーケットはプロの商談の場。そこで堂々と世界相手にプレゼンと商談を進める彼らはすごい!

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Mikhail Redとは去年参加したプロデューサーのワークショップで意気投合し、いつか一緒に映画を作ろうと話していたのですが、今回共同プロデューサーとしてチームに入れてくれて、本当に幸運です。去年の東京国際映画祭か今年の大阪アジアン映画祭で「Birdshot」を観た人は分かると思いますが、近い将来ハリウッド進出も期待されているアジアの期待の星です。

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今回、3日間でインディペンデントのプロデューサーから大手の配給会社まで24社前後と商談したのですが、実際、数社から一緒に映画を作りたいとオファーがあり、こんな若いチームでもやれば出来るんだと実感しています。

連日朝から晩までプレゼンするのは疲れますが、疲労以上に興奮が上回ります。そして、毎晩他のプロデューサーや映画祭プログラマーと飲みに行って、深夜までカラオケに行くというパターンです。

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これが重要だと最近つくづく感じています。僕のようなお金がないプロデューサーにとっては、信頼関係が全てだと思うのですが、カラオケは信頼関係を築いたり、見極めたりするのに威力を発揮します。僕は音痴なのでカラオケは好きではないのですが・・・

あっという間に3日間の企画マーケットは終わったのですが、何と僕たちの企画がNAFF Awardという賞を頂きました!制作費の一部になる賞金ももらえるのですが、金額以上に、今後お金が集まりやすかったり、映画祭に選ばれやすかったり、配給もしやすかったりという、大きな受賞です。

最年少の新しいチームで成し遂げた快挙!

出だし好調な「Eerie」プロジェクトですが、来年の夏撮影に向けて、まだまだお金集めと準備は続きます。

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撮影はフィリピンでするか、日本でするか迷っているのですが、とにかく、最強に怖いホラー映画を作るにはどうすればいいか、Mikhail Redの今後のキャリアも考えると何が最適なのか、試行錯誤しながら映画を作って行きたいと思います。

そして気がつけば、これも含めて3つフィリピンとの合作の企画を進めています。他の国との合作の企画もあります。

企画毎に面白い映画を作る為の最強チームを作りつつあります。これからは、国籍とか住んでるとことか関係なく、とにかく面白い映画を作る為に信頼出来る仲間と、一緒に映画を作って行くと思います。

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しばらくフィリピンに住もうかな(笑)と案外真剣に考えるこの頃です。

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やっぱりイタリア大好き

1年ぶりにイタリアに行ってきました。行く度にもうしばらく来ないかなと思うのですが、イタリアには何かと縁があるようです。

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​今回の目的はミラノで高級シーツの商談と、ウーディネのFar East Film Festivalで企画の売り込みと、『見栄を張る』が上映されたヴィチェンツァのWorking Title Film Festival参加です。 

色々とありましたが、大雑把に言うと、イタリアは飯が旨い、人間が陽気、そして女の子が可愛いという事です(笑)

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しかしこの旅で一番心に残ったのは、Working Title Film Festivalで受賞した事よりも、ウーディネでフランスのセールスエージェント兼プロデューサーに「お前の持ってくる企画は予算が小さすぎる」と言われた事でした。

そのプロデューサーと会うのは2回目ですが、準備した資料に自己紹介として「大阪のマイクロバジェットプロデューサー」と書いたのですが、今度会う時にこんな事書いてたらもうお前とは会わないと言われました… 欲がなさ過ぎるそうです。こんな低レベルな奴と会う時間がもったいないという感じがヒシヒシと伝わってきて、ミーティングの後半はほぼ沈黙で彼は忙しそうにメールを見ていました。

彼はカンヌやベルリンに毎年作品を送り込んでいるフランスでもトップクラスのセールスエージェントなのですが、製作費としては低予算だとしても1億円前後をイメージしています。一方、僕の企画は爪を伸ばして1千万円前後を想定しています。 

このギャップが大きい!

ヨーロッパではカンヌを目指すような作品は政府の助成金をもらって、1億円とかの製作費にしてプロデューサーは製作費から会社をやっていけるだけの最低限のギャラをもらうのが普通のようです。一方、日本のインディペンデント映画は製作費を出来るだけ抑えて、プロデューサーは作品を何とか売って次に繋がるように少しでも儲けようと考えるものだと思います。

と僕は考えているのですが、Far East Film Festivalにパネリストとして呼ばれていたオフィス北野の市山さんに幸運にもお話をお聞きする事が出来ました。 

市山さんも、国際共同制作となると、予算はそれなりに大きくなる。問題はヨーロッパからそれなりの助成金をもらっても、そういった助成金のほとんどはポスプロ等でヨーロッパで消費せねばならず、 残りの日本で消費する大きな予算を集めるのが至難の技であると言っていました。

ヨーロッパはインディペンデントでも大きい予算を期待しているけど、日本はインディペンデントでは大きい予算は現実的ではないという事なのかなと思います。 

そういったヨーロッパと日本のギャップでうまく立ち振る舞っているのは、是枝監督や、河瀬監督や、黒澤監督といったスター監督のみのようですが、やりようによっては他の若手の監督にもまだまだチャンスはあると思います。

では僕たちはどうすればいいかというと、僕なりの考えは、日本の若手の監督やプロデューサーがもっと交流して、いい企画を作る事だと思います。今アジアで一番勢いのあるフィリピン勢は、監督やプロデューサーが積極的に交流して、いい流れを作っている感じがします。

後はやる気だと思います。東南アジアの監督やプロデューサーは現実的にカンヌやオスカーを目指しているし、それなりの努力をしています。日本人の若手はどちらかというと、評論家タイプになりがちで、批評はするけど本気でカンヌやオスカーを目指している人が少ない気がします。

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次は大きな企画考えます!

harakiri films 今井太郎 

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機材 & スタジオ レンタル始めます

 <参考価格を追記しました!>

たいした物はないのですが、機材とスタジオのレンタルを始めます。 

<機材 値段は応相談>

ブームマイクセット(以下3点) - 参考価格3000円/日

 1. ショットガンマイク Rode NTG-3

 2. ブームポール Rode 0.85-3.3m

 3. ウィンドジャマー Rode Blimp

 レコーダーセット(以下3点) - 参考価格3000円/日

  1. レコーダー Zoom H6

 2. ヘッドホン Shure SRH440

 ワイヤレスピンマイク Sennheiser 2セット - 参考価格3000円/日

ワイヤレスピンマイクAzden 310BT 2セット - 参考価格2000円/日

LED 照明 LPL VLP-9500XP x 2 (三脚付き) - 参考価格4000円/日

 

<スタジオ 値段は応相談>

千鳥橋404 Final Cut Pro X 編集スタジオ (下の写真)

ここには27インチのiMac Retina 5Kを置いて、Final Cut Pro X編集スタジオにするつもりです。奥の部屋には大型テレビとスピーカーを置いて試写室にしたいと思います。

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下の写真は別の部屋ですが、このiMacを持ってきます。 

優秀なオペレーターもおります 

優秀なオペレーターもおります 

千鳥橋403 撮影スタジオ (下の写真)

昭和の雰囲気が残る文化住宅タイプの和室です。シェアオフィスとしてもご利用頂けます。

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千鳥橋402 撮影スタジオ (下の写真)

403に比べるとかなり荒れててトイレもかなり汚いです。

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千鳥橋屋上 撮影スタジオ (下の写真)

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実際にCMの撮影に使われた事もあります。 

千鳥橋 ガレージ 撮影スタジオ (下の写真)

 このガレージでは今までに桑水流勇気監督の『山本エリ「復元可能性ゼロ」と化す』を始め、様々な映画が撮影されました。イベント会場としてもいかがでしょうか。

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ご参考までに『山本エリ「復元可能性ゼロ」と化す』は下記から視聴可能です。 有料配信ですが、プロモーションコードに「yamamoto」と入力すると無料でご覧頂けます。

という事で、ご興味のある方は下記までご連絡ください。 

harakiri films

harakirifilms2014@gmail.com

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くさいけど「愛してる」 配信開始!

 国内外20以上の映画祭で上映され、各賞を受賞した短編映画『くさいけど「愛してる」』のVimeoオンデマンドでの配信が決定いたしました。

 それに伴い、配信開始から1週間、プロモーションコードからアクセスした先着100名の方に無料配信をいたします。

 

 【配信開始日】2017年4/7(金)00:00〜 (米国東部時間)

 

 【視聴可能場所】全世界 (英語字幕版)

 

 【詳細】レント48時間1ドル/ 購入5ドル

  作品URL:https://vimeo.com/ondemand/smell

 

 【無料配信プロモーションコード】

以下のリンクから作品をレンタルしていただければ、先着100名まで無料でご覧頂けます。

作品が視聴できるのは2017年4/7~4/14の間になります。

  https://vimeo.com/r/1TaY/cnJDN05QcC

 

 【埋め込みコード】ブログやHP、ネット記事などに使用していただければと思います。

<iframe src="https://player.vimeo.com/video/206374604?title=0&byline=0&portrait=0" width="640" height="360" frameborder="0" webkitallowfullscreen mozallowfullscreen allowfullscreen></iframe>

<p><a href="https://vimeo.com/206374604">Smell, But I Love You</a> from <a href="https://vimeo.com/harakirifilms">harakiri films</a> on <a href="https://vimeo.com">Vimeo</a>.</p>

 

 

 

 

●harakiri films (ハラキリフィルムズ)

 2015年、映画製作団体として大阪で結成。同年、桑水流勇気監督作品『山本エリ「復元可能性ゼロ」と化す』(82分)完成。永井和男監督作品『くさいけど「愛してる」』(24分)が、国内外20以上の映画祭にて入選し、グランプリを含む5つの賞を受賞した。

 上記2作品は2016年春に劇場公開された。

 

【問い合わせ】

 住所:大阪市西区立売堀1-9-34 本町ハウス303

 メール:harakirifilms2014@gmail.com

 HP:http://harakirifilms.com

 Facebook:https://www.facebook.com/harakirifilms2015/

 Twitter:@ harakirifilms

 

映画詳細は次のページをご覧ください。

 

 

くさいけど「愛してる」

 

【映画祭 受賞&上映歴】

●Kisssh-Kissssssh映画祭2016 【最優秀賞(グランプリ)】

●第1回関前諸島岡村島映画祭 【最優秀作品賞 最優秀脚本賞】

●京都国際映画祭 クリエイターズ・ファクトリー 【劇映画部門 優秀賞】

●したまちコメディ大賞2015 【勝手にサポーター&観客賞】

●第14回中之島映画祭 入選 ●Maryland International Film Festival 入選 ●第19回水戸短編映像祭 入選

●第6回 O!!iDO短編映画祭 入選 ●第8回おもいがわ映画祭 入選 ●日本セルビア交換映画祭 上映 

●きりゅうアワード2015 入選   ●Indie Fest USA 入選      ●夜空と交差する森の映画祭2015 上映 他

 

監督:永井 和男 (ながい かずお)

 2015年、インターネットドラマ『前向き男とネガティブ妻の日常』を発表。同年、友人の恋人の口臭を苦に製作した本作にて映画初監督。

 

プロデューサー:今井 太郎 (いまい たろう)

 Los Angeles City College映画学部卒業後、1年間LAのインディペンデント映画撮影現場に録音スタッフとして参加。帰国後はフリーの映画監督、プロデューサーとして映画制作を続けている。

 

【ストーリー】

誠は恋人である結衣の口臭に悩んでいた。どうしても真実を伝えることのできない誠が歯医者に相談すると、口臭を測る装置(スメライザー)を渡される。

 

【キャスト】

ルーデルマン大地、上西愛理

奈須崇、三浦美智瑠、篠崎雅美、天音、間宮志穂、真弓、伊賀漣太郎、井戸川真子

 

【スタッフ】

監督・脚本・編集 永井和男

撮影 小林健太 録音 了舟隼人 機材協力 中谷丸 衣装協力 筒井菜津子 英語字幕 岡村幸朗

エグゼクティブ・プロデューサー 桑水流勇気  プロデューサー・助監督 今井太郎

 

2015年/日本/24分/16:9/ステレオ/デジタル/カラー/製作・配給 harakirifilms

■予告:https://www.youtube.com/watch?v=UFOJAeoHx10

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CO2東京上映展

2月25日〜3月3日まで第12回CO2 (Cineastes Organization Osaka) の3作品を上映するCO2東京上映展が渋谷のユーロスペースにて開催されました。今後に活かせるよう備忘録のような感じでブログ書いてみます。

左から、神原健太朗さん、藤村明世監督、辻凪子さん

左から、神原健太朗さん、藤村明世監督、辻凪子さん

昨年度のCO2助成作品である近藤啓介監督の『食べられる男』、三間旭浩監督の『私は兵器』、藤村明世監督の『見栄を張る』が上映されたのですが、前年度第11回CO2の東京上映展は僕が観に行った時は満席だったので、ある程度はCO2ファンのお客さん来てくれるだろうという楽観的な予想と、もしかしたら誰も来なかったりしてというドキドキ感が入り混じったイベント開始前の気持ちでした。

今回、この上映展を大々的に宣伝する時間とお金はなかったのですし、そもそも映画の宣伝については全く分からないので、限られた人数、時間、お金でどうやってお客さんに来てもらえるかどうかをみんなで考えながら試行錯誤してみました。 

僕がプロデュースした『見栄を張る』に関して念頭に置いていた事は、今回ただ誰でもいいから多くのお客さんに来てもらうのではなく、今後、『見栄を張る』が一般劇場公開につながるようにこの映画を広めてもらえるお客さんに来てもらおう、そして今後の藤村監督の作品につながるように藤村明世ファンを作ろうという次を見据えた作戦です。

『見栄を張る』を観たいっていうお客さんが増えてくれれば、今後劇場公開もしやすいでしょうし、 劇場公開した時にはそのお客さんに来てもらう事を想定して作戦を考えました。そしてそうやって来てくれたお客さんが藤村監督の今後の作品も応援してくれるようお客さんとの長期の関係を築く事が重要なのかなと僕なりに考えています。

こういったイベント上映でお客さんに来てもらうのに、一番有効なのは著名人をトークゲストとして招く事かと思い、誰を呼ぼうかずっと考えていました。しかし著名人に来てもらうお金もコネもなかったという事もありますが、今回は特にゲスト目当てではなく『見栄を張る』を観る事を目的として観に来て欲しいですし、ゲストを呼ぶにしても今後この作品をずっと応援してくれる人にお願いする事が重要だと思い、関係者中心に候補を考える事にしました。

そこでみんなで出した答えが、シンプルに藤村監督と主演の久保陽香さんに 登壇してもらい、司会としてこの作品をずっとフォローして下さっているSKIPシティ国際Dシネマ映画祭の神原健太朗さんをお招きする事でした。

残念ながら久保さんは大事な映画の撮影と重なってしまい来れなかったのですが、1回目の上映にはチョイ役で出演してもらっている辻凪子さんに登壇してもらいました。チョイ役とはいえ出演者が登壇する方がお客さんも喜んで頂けると思いましたし、辻凪子さんも登壇すれば自分の出ている作品を今後応援しやすいだろうと思っての策略です(笑)

『見栄を張る』はCO2助成作品といえど、実質的には超低予算の自主制作映画ですので、誰でも知っているスターが出ている訳ではありません。こういった自主制作映画が好きな人は限られているでしょうし、その中でもこの作品を気に入ってくれる人やそうでもない人に分かれるのが普通です。それでも、『見栄を張る』を前から観たいと思ってくれてたり、観たら気に入ってくれるであろうお客さんはなんとなくの感覚ですが東京に1,000人以上はいるはずだと思います。 

そういったお客さんに確実に情報を届ける事が重要だと思いました。『見栄を張る』観たかったけど上映やってるの知らなかったとか、こういう自主制作映画好きだけど『見栄を張る』という作品の存在を知らなかったとか、せっかくのチャンスを逃す事は極力減らしたい。僕も映画は多く観る方ですが、それでも観たかった作品がいつの間にか上映終わってるって事はよくあります。

また、好き嫌いはあって当然ですが、過大広告であったり間違ったターゲットへの宣伝をして、テイストの合わないお客さんをたくさん呼んでしまい悪い評判を流す事になると、今回の上映には人は入ったとしてもお客さんの信頼を失い今後の活動にマイナスになると思います。

東京都に住んでいる1,400万人の中から1,000人という極わずかなターゲットに確実に情報を届ける最も有効な方法は、答えは分かりませんが、色々と考えてみました。 

ユーロスペースに普段から通ってる映画好きの人々や、藤村監督の周囲の人々は今後も応援してくれる可能性が高いので、ユーロスペースでチラシを配ったり、藤村監督からのSNS発信には藤村監督自身に力を入れてもらいました。よく考えればチラシ配りとSNSは基本中の基本ですが、みんながやってるからといって何も考えずにがむしゃらにやるのと、ちゃんと考えてやるのとではチラシの配り方やSNSの発信の仕方が変わってくると思います。

結果、1回目の上映は日曜のレイトショーにもかかわらず70人近くのお客さんに来て頂き、2回目の上映はなんと144席の劇場が満席になり立ち見もでました。 

立ち見のお客様には申し訳なかったですが、この光景は嬉しかったです。

立ち見のお客様には申し訳なかったですが、この光景は嬉しかったです。

こういった作戦が実ったのかどうかは分かりませんが、藤村監督の友達がたくさん来ていたのは事実で、藤村監督の頑張りに脱帽です。 

『見栄を張る』は去年の大阪アジアン映画祭とSKIPシティ国際Dシネマ映画祭でも上映されたのですが、その時から次につながる宣伝を心がけてきました。そういった次を見据えた作戦と地道な努力も少しは貢献したと信じたいです。 

『見栄を張る』の次の上映は下記の通り4月の高崎映画祭ですので、東京上映展を見逃した方やもう一度観たいという方は是非この機会にお越しください!

第31回高崎映画祭
「監督たちの現在ー進取果敢な人々ー」 部門 正式出品

『見栄を張る』
監督・脚本:藤村明世
出演:久保陽香/岡田篤哉/似鳥美貴/辰寿広美

上映スケジュール
4/6(木) 11:00〜12:33 @ シネマテークたかさき
4/7(金) 19:00〜20:33 @ 高崎シティギャラリー

高崎映画祭ホームページ
http://takasaki.film.gunma.jp/forward-looking/247/

そして一般劇場公開が早く実現するよう、Twitter(ハッシュタグ #見栄を張る)で皆様のお気持ちを拡散して頂いたり、正直な意見で構いませんのでFilmarks等のレビューサイトにコメントして頂ければありがたいです。

https://filmarks.com/movies/67470

今後とも応援よろしくお願いします!

harakiri films プロデューサー 今井太郎

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自主制作映画をAmazonで配信してみた結果

2016年5月からAmazonがAmazon Video Directというサービスを始めたのはご存知でしょうか?

harakiri filmsも7月から桑水流勇気監督の『(不)完全人間』を、8月から同監督の『山本エリ「復元可能性ゼロ」と化す』を同サービスにて試しに配信してみてるのですが、これまでの実績を検証したいと思います。

比較の為に、VimeoオンデマンドとTSUTAYA TVでの実績も入れていますが、下の図の通り、Amazonの売上がダントツトップです。単位は一円なので小さな規模の話なのですが、下のAmazonでの『(不)完全人間』の売上は56,323円です。

プラットフォーム別売上(円)

TSUTAYAでの配信は『山本エリ「復元可能性ゼロ」と化す』のみ

ここでの売上とは各プラットフォームから実際に私に支払われた金額ですので、各プラットフォームの売上はもっと大きな金額になります。VimeoはVimeoの売上の90%をもらえるので一番おいしいのですが、自分で宣伝をしないといけないのと視聴者は都度クレジットカードで支払わないといけないという障壁があるので、マーケティングを考えなければなりません。

TSUTAYAは取り分が低い(Vimeo 90%、Amazon 50%、TSUTAYA 40%)のと、会員数が少ない(Vimeo 2,500万人以上、Amazon プライム 日本で600万人以上+アメリカで6,600万人以上、TSUTAYA TV 100万人以上)のと、配信動画のクオリティが低いので、今後の改善を期待しています。Amazonは世界中の会員にリーチできるので、宣伝なしでこの結果です。今後が期待できるという事なのでしょうか!?

『(不)完全人間』は桑水流勇気監督が一人で撮影した予算10万円の作品なのですが、意外と評判が良く驚いています。『山本エリ「復元可能性ゼロ」と化す』はクラウドファンディングと自己資金で300万円使った渾身の一作だったのですが、監督一人で撮った作品に負けています。。。

ここからはAmazonだけに絞って見ていきますが、下の図は月別の売上です。『(不)完全人間』は一旦終わったかと思いきや、11月からまた伸びてきています。Amazonの作品のページを見てみると、賛否両論ありも口コミをちょいちょい頂いており、口コミから広がってるのかなと推測します。

Amazon Video Direct 売上(円)

ここからはAmazonでの『(不)完全人間』のみの数字を見ていきます。下の図は国別の売上です。今の所Amazon Video Directで配信できるのはこの4か国だけですが、何の宣伝もしていないアメリカの方が日本よりも売上が高いのにも驚きました。これはアメリカの方が会員数が多く、ネット配信が浸透しているからだと推測します。

ヨーロッパは配信がまだまだ浸透していないので、これから伸びる余地があるって事でしょうか。

(不)完全人間 売上(円)

2016年7月〜2017年1月の合計

Amazonの視聴者はレンタル・購入、プライム会員特典、広告付き無料動画、会員制サービス等様々な方法で作品を観る事ができるのですが、ほとんどがプライム会員特典での売上です。プライム会員特典の視聴による我々の取り分は1時間のストリーミング毎にアメリカでは15セント、アメリカ以外では6セントとなっています。

上記の国別売上を国別視聴時間にしてみればどうでしょうか?実際の数字とは違いますが、売上金額から収益率を割って単純計算してみました。

(不)完全人間 視聴時間

2016年7月〜2017年1月の合計

あれま、視聴時間にすると日本がアメリカを逆転しました!Amazonの場合、最初の数分だけでも視聴すると視聴時間にカウントされるので、単純に視聴した人の数は割り出せませんが、62分の作品なので、上記の視聴時間を作品の長さで割った推定視聴人数も入れています。

お蔵入りしていた作品を実験的にAmazonに載せてみたら、7か月で5,000人位の人が観てくれたって事だとすれば、素晴らしい事ではないでしょうか。

そして、『(不)完全人間』と検索してみたら、いつの間にかFilmarksやブログでこの作品について書いてくれている人がたくさんいます。

https://filmarks.com/movies/69919

http://fonte.blue/?p=144

http://lineblog.me/bitchhime/archives/174681.html

小規模ではありますが、作品が一人歩きするとはこういう事なんでしょうね。フォンテ・ブルーさん、宮川サトシさん、ブログに書いて頂きありがとうございます!

今まで嘘でもいいからいいレビューを書いてもらった方が視聴者は伸びるのかなと思っていたのですが、「レビューと違うじゃないか!」とガッカリされるよりは、最近は正直なレビューを書いてもらった方が長期的にはファンの心を掴めるのかなと思っています。賛否両論でも話題になりますし、ネガティブな事ばかり書かれていても一点でも褒めてもらえる要素があれば、その一点を期待して観てくれる人がいるのかなと感じています。

そしてその一握りのお客さんを大切にして、そのお客さんの期待に応えるべく次回作を作るのが僕たちharakiri filmsにとって一番重要な事かも知れません。

『(不)完全人間』はAmazonだと以下のリンクから視聴できます。カスタマーレビューも是非読んでみてください。

https://www.amazon.co.jp/(不)完全人間-小山国宏/dp/B01JKIZFVG

 

しかし下記のVimeoで観てくれた方が僕たちは嬉しいです!

Amazonへ自分の作品を載っけたい人は、下記のブログが参考になるかと思います。

http://pasokatu.com/12788

http://www.kagua.biz/seisaku/movie/avd-touroku.html

http://setsuzoku.nifty.com/koneta_detail/160617000074_1.htm

桑水流勇気監督は次回作の『マリファナ・ファミリー』に向けて鋭意脚本執筆中ですので、今後ともharakiri filmsと桑水流勇気監督をよろしくお願いします!

harakiri films
今井太郎

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好きなミュージカル映画①

好きなミュージカル映画①

「ラ・ラ・ランド」がオスカー14部門ノミネートで注目を浴びていますが、僕の個人的なミュージカル映画のランキングを発表します!ちなみにインドにはいいミュージカルがたくさんあるのですが、今回は除外しています。

「ラ・ラ・ランド」がこのランキングのどこに入るかが楽しみですが、日本公開の2月24日までにもっとミュージカル映画観てランキング更新しようと思っています!

 

特に心に残った大好きなミュージカル映画

1位 オズの魔法使い (1939年)

2位 サウンド・オブ・ミュージック (1965年)

3位 雨に唄えば (1952年)

4位 屋根の上のバイオリン弾き (1971年)

5位 ヘアー (1979年)

「オズの魔法使い」は僕にとって不動の一位です。ジュディ・ガーランドの「Somewhere over the Rainbow」と「So You Want to See the Wizard」は頭の中で歌が流れ続けています。ブルーレイも買ってしまいました。いつか劇場で観てみたい。

2位と3位は甲乙付け難いですが、何となくあの壮大なオープニングのイメージが頭に残っていて「サウンド・オブ・ミュージック」が2位になりました。「雨に唄えば」は僕から何も言う必要はありませんね。

「屋根の上のバイオリン弾き」は1〜3位のクラシックで王道な感じのミュージカルとは違うので比較しにくいのですが、ミュージカルの最高傑作の一つだと思います。主演のトポルの頑固だけど憎めない親父は忘れられません。5位の「ヘアー」は最近観たのですが、ぶったまげた度と笑える度ではナンバー1です。こんなヤバい映画と撮ったのは誰かと思えば、なんと「カッコーの巣の上で」や「アマデウス」のミロス・フォアマン監督!

 

率直に面白いミュージカル映画

6位 キャバレー (1972年)

7位 レ・ミゼラブル (2012年)

8位 お熱いのがお好き (1959年)

9位 ダンサー・イン・ザ・ダーク (2000年)

10位 人生狂騒曲 (1983年)

11位 ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ (2001年)

「お熱いのがお好き」と「人生狂騒曲」はミュージカル度合いは低いですが、一応入れときました。この中だと「キャバレー」が一番ユニークかな。「レ・ミゼラブル」の脇役のサマンサ・バークスの歌は泣いてしまいました。

 

まあまあなミュージカル映画

12位 マイ・フェア・レディ (1964年)

13位 メリー・ポピンズ (1964年)

14位 夢のチョコレート工場 (1971年)

15位 ウエスト・サイド物語 (1961年)

こうやって観ると名作ばかりですねが、「マイ・フェア・レディ」は主演のレックス・ハリソンの演技がちょっとウザく感じてしまいました。しかしオードリーの親父役のスタンリー・ホロウェイは素晴らしい。

 

ごめんなさい、期待はずれ!

16位 オペラ座の怪人 2004年

17位 ムーラン・ルージュ 2001年

特に「ムーラン・ルージュ」はアホかと思った。

 

歌がグッときた俳優

ジュディ・ガーランド (オズの魔法使い)

ジュリー・アンドリュース (サウンド・オブ・ミュージック、メリー・ポピンズ)

ジーン・ケリー (雨に唄えば)

デビー・レイノルズ (雨に唄えば)

トポル (屋根の上のバイオリン弾き)

サマンサ・バークス (レ・ミゼラブル)

スタンリー・ホロウェイ (マイ・フェア・レディ)

クリストファー・プラマー (サウンド・オブ・ミュージック)

ライザ・ミネル (キャバレー)

アン・ハサウェイ (レ・ミゼラブル)

ヒュー・ジャックマン (レ・ミゼラブル)

ビョーク (ダンサー・イン・ザ・ダーク)

ジョン・キャメロン・ミッチェル (ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ)

リチャード・ベイマー (ウエスト・サイド物語)

ナタリー・ウッド (ウエスト・サイド物語)

 

ミュージカル映画で個性を発揮していると思う監督

ヴィクター・フレミング (オズの魔法使い)

ノーマン・ジュイソン (屋根の上のバイオリン弾き)

ミロス・フォアマン (ヘアー)

ボブ・フォッシー (キャバレー)

ロバート・ワイズ (サウンド・オブ・ミュージック)

スタンリー・ドーネン、ジーン・ケリー (雨に唄えば)

ジョン・キャメロン・ミッチェル (ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ)

 

いつか面白いミュージカル映画を撮りたいと思い勉強の為に見始めたのですが、ミュージカル映画は戦争、政治、宗教、社会的状況を題材にしたものが多い深いジャンルなんだなと気づきました。そしてミュージカル映画の面白さを左右するのはやっぱり役者の歌ですね。皆さんの意見とか、お勧めのミュージカル映画とかあれば教えて欲しいです!

harakiri films 今井太郎

Ties That Bind レポート②

もう終わってから1ヶ月以上経ってしまいましたが、12/5〜12/9にシンガポールで開催された国際共同製作ワークショップTies That Bindのレポート第二弾です!

ワークショップでは主に脚本の企画開発とファイナンスについて勉強したのですが、まずは脚本から。今回はアジアとヨーロッパから集まった15人のプロデューサーのうち、10人が企画を持って参加しており、それぞれの脚本またはトリートメントについて、伝説のClare Downs先生から個別の指導を受けました。そして、10人の脚本またはトリートメントを参加者全員が事前に読み、グループワークで熱い議論を交わしました。

授業の様子です。

授業の様子です。

プロデューサーが脚本の指導を受け、皆で議論しあえるこのプログラムがTies That Bindで一番有意義だったと思います。それぞれの国の文化を知ることができるし、企画によって予算は様々だけど、皆同じような脚本の壁にぶつかっていたりして、議論することによって皆がより深く理解しあえ、皆がFilmmakerとして、人として成長できる場だったと思います。

欧米では時代や場所や先生によって違えど、根本的な部分は同じ脚本の理論が確立していて、その理論に基づいて主に構成とキャラクターについて議論します。僕自身、映画は脚本が一番重要だと信じているので、監督や脚本家ではなくプロデューサーのワークショップで脚本について深く議論するのは大きな意味があると思いました。

例えば、フランスの助成金に関しては、選考で一番重要なのは脚本だそうですが、アジアから応募される企画は脚本が弱いので、いい脚本さえあれば選ばれるチャンスは大きいそうです。一方、南米からの応募は脚本のレベルが高いので、競争率もかなり高いそうです。ちなみに日本からの応募はカンヌで上映されるような名監督からの応募しかないらしいのですが、脚本さえよければ若手にもチャンスはあると言っていました。但し、条件としてフランスにパートナーのプロデューサーがいないと応募できませんが。

アジアの投資家との商談でもやはり脚本が一番重要だと感じました。アジアの場合、多様な国があって、プロデューサーのビジネスモデルも様々なので、投資家によって求めるものは違いますが、そこで原作がどうかとか、誰が出てるとか、どういうジャンルかとか売れる要素を考えすぎると、国や文化で違いすぎるので複雑になるだけだと思います。個人的には脚本の芯の部分がよければ、時代や文化は関係なく普遍的に面白いものは面白いってなると思っています。

ワークショップと同時期に開催されていたSoutheast Asian Film Financing Project Marketにて次回作の売り込みもさせてもらいました。

ワークショップと同時期に開催されていたSoutheast Asian Film Financing Project Marketにて次回作の売り込みもさせてもらいました。

僕たちの低予算映画では、マーケットが日本だけだと利益を出すどころか、制作費の回収すらする事はほぼ不可能だと思っています。ですので日本だけでなく海外のマーケットも視野に入れて映画を作っていきたいのですが、主戦場は英語圏や中国語圏のネットのプラットフォームになると思います。

日本の商業映画では日本というマーケットが明確なので、既にファンのいる原作、人気のある俳優、売れそうな要素、今の時代がどうのこうの等、企画を外から埋めていく事が成り立ちます。一方、僕たちは世界のニッチな映画マニアを相手にする事になるので、監督や脚本家が本当に書きたいもの、作りたいものを内から外に展開して行って、監督、脚本家、役者の個性の強い作品作りをして、それに見合ったマーケティングをすれば、長期的に儲かるビジネスモデルができるのではと思います。

てことで harakiri films はこれからもっとクレイジーで売れる作品を作っていこうと思います。今年も harakiri films を宜しくお願いします!

今井太郎

Ties That Bind レポート①

12/5~12/9にシンガポールで開催されたTies That Bindという映画の国際共同製作のワークショップに参加してきました。これはEAVE(European Audiovisual Entrepreneurs)というヨーロッパのプロデューサーのネットワークが主催で、今年の4月にイタリアのウーディネで前半が行われ、今回が後半のワークショップでした。

このワークショップにはヨーロッパとアジアのプロデューサーが15人参加し、それぞれのプロジェクトについて脚本とファイナンスの面で議論し、さらに業界のプロから様々なアドバイスがもらえます。

今回参加した同期のプロデューサーは20代〜50代までいて、国籍も様々ですが、カンヌ、ベルリン、ヴェネツィアに作品を出品しているプロデューサーもいれば、ハリウッドに作品を売っているプロデューサーもいたりと超ハイレベルです。そんな仲間と朝から晩まで一緒に議論するだけでも創造意欲がかなり掻き立てられるのですが、アドバイザー陣もヨーロッパのトップセールスエージェントや、有名な脚本の先生や、元ヴェネツィア映画祭のディレクター等、普通では出会えないメンツばかりで、かなり刺激的でした。

僕は過去10年間一般企業でサラリーマンをしていたので、他の同年代の映画関係者に10年遅れをとってると思っていましたが、普通に映画業界に入っていたらこんな素晴らしいワークショップに参加できてなかったと思うので、遠回りした甲斐があったと今は思っています。Ties That Bindを紹介してくれたドンちゃん、推薦してくれた小野さん、本当にありがとうございます。

勉強した事がたくさんありすぎて何から書こうかと迷うのですが、まずは最後にみんなで撮った集合写真から。

Ties That Bind 2016の生徒と先生たち

Ties That Bind 2016の生徒と先生たち

なぜこの写真かというと、ここに写っているみんなが、僕が今まで活動していた小さな世界で出会った誰よりも、クリエイティブで、ビジネスセンスもあり、努力家で、映画に対する情熱を持っているからです。先月パリに行って出会った福永壮志さん、半野喜弘さん、そして今月シンガポールで再開したTies That Bindのみんなには今までの人生で一番大きな刺激をもらいました。

こうやって凄い人達と一緒にいると、不思議と人間や文化というものが今までと違った目線で見えてくるようになります。例えば、シンガポールで映画仲間と過ごした時間は鮮明に記憶に焼き付いているのですが、シンガポールという街自体には何も感じないのです。むしろ、あの高層ビル群やそこに住んでる人々がむなしく見えてきます。帰りに東京に立ち寄った時も同じ感覚を覚えました。一体この巨大な街とそこに群がる人々は何なんだろうと。

特に朝のラッシュ時に電車に乗って羽田空港に向かった時は、朝から満員電車で眠たそうにギュウギュウ詰めになって会社へ行くサラリーマン達の虚しさが今まで以上に感じました。僕自身去年までサラリーマンをやっていたので、彼らの気持ちもよく分かるのですが…

去年までの7年間、僕はキャピタリズムの象徴みたいな巨大な総合商社で働いていました。社員の原動力は「面白い映画を作りたい!」とか「うまいラーメンを作りたい!」とかではなく、プライド、競争、お金、女にモテるといった実態のよくわからない何かだったと思います。僕のいた繊維の分野は日本国内では成長していない市場なので、他社との潰し合いの世界でした。そこで競争に勝つという事は、反対に誰かが苦しんでいるという事であって、しかも他人を苦しめた挙句、社会には何の貢献もしていないという世界だったと思います。

サラリーマンである以上、競争に勝ってもそんなに給料が上がるわけでもないのに、一体何のためにみんなそんな頑張っているんだという思いはずっとありました。もしかしたら、競争に勝った後の希望よりも、競争に負けた時の恐怖心からみんな頑張っているのかも知れません。

そんな虚無感がシンガポールから帰ってきてから今まで以上に大きく感じるようになりました。日本の大多数の会社員は大学を卒業して会社に入って給料をもらって生きて行く事が常識であって現実であると信じていますが、実は真実は真逆で日本の政治や経済や会社というものがいかに実態のない空虚なものかという事に皆気づいていない事が、キャピタリズムの終焉を感じさせます。

サラリーマンの頃にはそれなりに社会人としてたくさんの事を勉強してきたと思っていましたが、世界の映画関係者や文化人に会って、今まで以上に映画を観たり本を読む時間も増えると、今まで勉強してきた事がいかに浅はかで、表面だけの空虚な世界で勘違いして生きてきたかという事が分かるようになりました。なぜなら、Ties That Bindで出会ったような本当に自分のやりたい事に真剣な人は、ちゃんと自分を理解し、ちゃんと現実に向き合っていて、真実の世界で生きているからです。

ちなみに僕のいた会社はいい会社で、そこで働いている人たちもいい人ばかりです。僕も大変お世話になりました。問題は会社じゃなくて、今の社会と日本人の心理だと思います。

シンガポールや東京だけでなく、今の世界は、特に先進国の大都市はビルや物や人には溢れていますが、実態は空っぽであり、大企業は空っぽであり、人間も空っぽであり、そこで作られる映画も空っぽになってきています。僕は邦画はあまり観ない方ですが、今年観た話題作でいうと『君の名は。』は特に空っぽでした。面白そうな出来事を並べているだけで、人間の真実を描いていない空っぽの映画だと僕は感じました。劇場で泣いている人たちを観ると、自分の感性がおかしいのかなとも思いますが…

僕自身もつい最近まで何も見えてなかったし、まだまだ見えてない事もたくさんあると思いますが、若い監督達と話していると、人間や出来事を真の意味合いでなく、表面の覆いかぶさった部分でしか見ていない感じがします。特に今の日本の20代の若者は成長しきった社会で生まれ、平和な時代に育った親に育てられ、学校や会社や社会ではルールに従う事が常識とされ、さらにチャンネル数が限られたテレビという狭い世界の影響を大きく受けて育っているので、みんなが多様性のない空っぽの人間になるのも仕方ない気がします。

そして、そんな空っぽの社会で、空っぽの観客に対して、空っぽの監督が映画を作れば、当然空っぽの映画ができてしまいます。東宝のような大企業でサラリーマンのプロデューサーが日本映画を牛耳っている限りは、日本から本当に面白い映画はなかなか生まれないかもしれません。しかも今のやり方では他の産業と同じで小さな市場での潰し合いになるだけで、将来は危ない事は目に見えています。例えば東宝がインディペンデント映画専門の子会社を作り、商業映画で儲けたお金の少しでもインディペンデント映画に投資し、新しい人材の発掘や世界の市場で戦える映画作りでもしたら将来は見えてくるかもしれません。

商業主義の考え方で映画を作ったり、評論家やメディアがヒットの要素を分析したりする考え方は、遅かれ早かれ行き詰まると思います。僕は空っぽの映画ではなく、キャラクターのしゃべっている事の本当の意味、写っている映像の本当の意味を追求する中身のある映画を作っていきたいですし、中身のある人間と付き合っていきたいです。

長々と「何が言いたいんだ!」と思われたかも知れませんが、文章を簡潔にまとめるって難しいですね!Ties That Bindでは脚本の構築の仕方、予算計画、ヨーロッパの助成金へのアプローチ、アジアの投資家へのアプローチ、セールスエージェントへの売り込み方、Netflix等のこれからのネット時代の考察等、具体的な事をたくさん勉強したので、これから書いていこうと思うのですが、一番勉強になったのはザクッとした精神論的なことでした。

もっと頑張るぞ!

harakiri films 今井太郎

国際共同製作映画のワークショップ

明日からヨーロッパとアジアの映画プロデューサーが国際共同製作について一緒に学ぶワークショプ Ties That Bindの後半がシンガポールで始まります。

他の参加者の長編の脚本を英語で8本読んでクリエイティブな面とビジネスの両方の面で1週間朝から晩まで議論するタフなワークショップですが、みんなの脚本が面白いので読むのは大変だけど楽しんでいます。

今日はワークショップ開始前ですが、ハリウッド映画なんかにもアドバイスしているイギリス人の脚本の先生と面談。僕が出しているプロジェクトの構成やキャラクターやテーマについて、色々と議論しました。この先生は構成とキャラクターを重要視しており、僕が目指している映画作りと方向性が一緒なので、大変勉強になります。中々大阪では脚本について深く議論できる人がいないので、本当にありがたい。

夜は今年の4月にイタリアで開催された前半のワークショップから半年ぶりに、仲間と再会して近くのマーケットに食事へ。みんな仕事はうまくいってるかとか、プロジェクトはどうなってるとか聞いてくれるいいやつばかりです。

デンマークのプロデューサーは3年前に3人のプロデューサーで会社を製作会社を作り、最初のプロジェクトにお金が集まるまでは3人ともただ働きで頑張ったそうです。それが今ではヴェネツィアのコンペに作品を送り出すヨーロッパでも注目される会社に成長しています。彼のアドバイスは大阪に編集室とサウンドスタジオを作ればレンタルで貸し出せるし、自分の作品でも使えると。カラーグレーディングのスタジオは投資金額が大きすぎて機材もすぐに新しいのが出るから難しいと。

とりあえず最初にいいプロジェクトを固めてお金が集まるまで我慢すれば絶対うまくいくと言ってくれました。

イギリスのプロデューサーは数千万円で作った低予算ホラーが製作費の3倍の値段でネット配信の会社に売れたそうです。有名なキャストが出ていないので大手の配給会社は相手にしてくれなかったそうですが、アートハウスホラーという明確なジャンルが売れたポイントだそう。

最近日本の映画はあまり聞かないけどなんで?みんな昔みたいに日本の面白い映画を期待しているから、まだまだチャンスはあるよと言ってくれます。

ワークショップが始まる前から刺激が多すぎる一日でした。

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今井太郎

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ロンドンの映画祭に行ってきました

関西に辻凪子という面白い女優さんがいます。

普段は大学で演技の勉強をしながら舞台や映画にも出たりしている辻凪子さんですが、俳優コースなのに大学のプログラムで短編映画を監督してしまい、『ゆれてますけど。』という10分の作品が出来上がりました。

この作品は「こんなの映画じゃない!」という人もいれば、「彼女は天才だ!」と言う人もいるのですが、12月4日に渋谷のアップリンクで開催されるオイド短編映画祭で上映されるので、ぜひ足を運んで皆さんのご意見をお聞かせ頂けたらと思います。

http://oidosff.com/2016/11/01/「第8回オイド短編映画祭」入選作品&開催要綱発/

僕の個人的な感想を言うと「こんなの映画じゃない!」と言いたいのですが(笑)、思い返してみれば自分が学生の頃に8mmで撮った作品なんてもっとクソなんですよね。これは短編映画なり一度でも作った事のある人にしか分からないと思いますが、映像で言いたいを伝えるって意外と難しく、初めて作ると大抵意味不明なものになります。

ところがよくよく見てみると、『ゆれてますけど。』はナレーションや台詞ではなく映像でストーリーを伝えるという映画の基礎がきっちりとできていて、更に辻凪子の女優としての表情の変化が面白く、そして一番難しいお客さんを楽しませる事が出来ちゃってるんですよね。

ちなみに僕が学生の頃に撮った作品はこれです。8mmのクラスで撮った3本目なのでまだましな方です。辻凪子とどっちが面白いか教えてください。

で、辻凪子さんには僕たちの作品に出演してもらったり世話になっている事と、この作品から何となく感じる意味不明な今後の可能性に期待して、僕が適当に英語字幕をつけてダメ元で海外の映画祭に応募してみる事にしました。作品の善し悪しは別として、映像から言葉では言い表せない奇妙なパワーを感じるんですよね。

数えてみれば70件位の映画祭に応募して、落選しまくったのですが、なんと一つだけ『ゆれてますけど。』を選んだバカな映画祭がありました!それが10月29日〜11月19日にロンドンで開催されたクリスタルパレス国際映画祭です。ちなみにこの映画祭には僕たちが汗水たらして作った長編映画『見栄を張る』も応募したのですが、そっちは落選しました…

http://cpiff.co.uk

正直言ってよく分からない映画祭ですが、ホームページの恐竜とセクシーな女のデザインが気に入った事と、ジョニー・ベガスとマーク・スティールと言うイギリスでは有名なコメディアンが審査員って事で、これは行かなきゃならんでしょってロンドンまで行ってきました。ちなみに英題は「Shaky Girl」で、下のプログラム予告編の5つ目に出てきます。

『ゆれてますけど。』は名誉な事にこの映画祭のメインイベントであるコメディ部門で、映画祭最終日の11月19日に上映されました。その他の上映作品はイギリス、アメリカ、オーストラリア、スペインからでアジアからは辻凪子のみ。

コメディ部門で上映されたのは『ゆれてますけど。』入れて9本だったのですが、なんとまあ他の作品のクオリティの高い事!制作費1千万円位かかってそうな作品ばかりで、監督達も実績のあるプロって感じでした。無名の映画祭ですが、レベルはかなり高いです。なぜこのメンツに辻凪子が選ばれたのか…

そしてついに上映が始まりました。上映開始後すぐに客先から笑いが!チケットは売り切れで250席の会場は満席。4月に行ったアメリカの映画祭は観客4人だったので、かなりの盛り上がりです。『ゆれてますけど。』は確か最後から2番目の上映だったのですが、他の作品に比べても結構お客さん笑ってました!辻凪子監督は失笑だと恥ずかしそうに言ってましたが、確かに笑ってましたよ(笑)。

そして授賞式に移り、各部門のノミネート作品と受賞者が発表されました。上の写真の右に写っているのがコメディアンのマーク・スティールさんです。『ゆれてますけど。』は全日程の全部門の中の学生映画から選ばれるBest Student Filmにノミネートされたのですが、ノミネート作発表の時『ゆれてますけど。』が一番大きな拍手と歓声を頂き、その瞬間はやっぱり映画祭にきてよかったと実感しました。

結果としては残念ながら受賞は逃しましたが、観客の拍手と歓声は確実に一番大きかった!ちなみに受賞したのは台湾のアニメーションなのですが、監督の代理で賞を受け取っていたのが上の写真の左の人で、4月に行ったイタリアの映画祭で知り合ったレオナルドさんだったのでびっくり。世界は狭いですね!

それでは辻凪子監督の映画祭での写真をいくつかお届けします。

他の作品の監督さんや役者さん達に「面白かったよ」とたくさん声をかけられ、英語が喋れなくても会場一の人気者になってしまう辻凪子さんなのでした。

その後打ち上げとかはなくあっさりと終わってしまったのですが、終了時刻が遅かったので終電に乗り遅れた僕たちは真冬並みに寒い雨の中バスを乗り継いで2時間かけて宿に戻ったのでした。いつも明るい辻凪子さんですが、その時ばかりは疲れている感じだったかな。

後日、映画祭から嬉しいメールが届きました。

We loved having you both at the festival thank you so much for coming!! Nagiko certainly has a lot of talent as a director and thinks 'outside of the box' which is great! The audience loved her film and even cheered when it was mentioned as a nominee for the award! It was also a close decision and nearly won!

She should keep going and always believe in herself no matter how many rejections come along (there are always a lot so we need to accept them and move forward).

Best of luck to you both.

こんな素晴らしい映画祭に連れて行ってくれた辻凪子に感謝。

 

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